ヤマハBS16試乗レポート
(最終更新日:2004年12月31日)
2004年9月25日、ヤマハBaySports16のセンターコンソール艇(BS-16CC)に1日貸切で試乗する機会に恵まれました。このBS16は前年の開発段階から設計者であるヤマハ発動機梶E国内マリン事業部・製品開発グループの福山さんと数回お会いして話を聞いており、そのとき「発売したら必ず試乗させますから」という約束を守る為に熊本まで来て頂き実現しました。最近スモールボートから遠ざかっていたヤマハがSRV17以来久々に発売した本格的なトレーラブルボートです。業界最大手メーカーであるヤマハが、日本ではまだマイナーなトレーラブルボーティングに本格参入した事はトレーラブルを楽しむ我々にとって心強く嬉しい限りです。これを機会にトレーラブル普及の為に誰もが安心して下ろせるスロープの確保など全国に展開して欲しいものです。
当日は午前10時に熊本県上天草市松島のヤマハマリーナに集合の約束で、メンバーは私と釣り仲間の石川君、天海さんの3名で全員トレーラブル仲間です。試乗場所までの道中、宇土半島から有明海を眺めると結構風があり白波が立っていたので、ジギングが出来る場所までの遠出は無理かと半ば諦めていました。今回の試乗は実際の使い方を想定し、目的地である釣り場まで実効速度で走り実際に釣りをして使い勝手を検証してみるというものでした。
ヤマハマリーナは天草5橋の4号橋渡ってすぐ左に降りたところに位置します。今回のコースとしては、まず八代海に抜けて御所浦方面へ行きその先にある養殖イケスの周りで釣りをして同じコースを帰るという設定です。全行程の距離は地図上で計測すると最短で片道36Kmほど、実際には往復で73Kmほどだったと思います。
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| 今回の試乗艇BS16(前方から) |
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同じく後方から |
●試乗艇の仕様
今回試乗したヤマハBS16のスペックは下の表をご覧下さい。試乗場所が熊本県は天草のヤマハマリーナでしたので、既にボートは海上の桟橋に舫いでありトレーラーの取り回しは体験できませんでした。純正トレーラーは普通免許で牽けるアメリカのショアランダー社製(最大積載量600Kg、予備検査付き)をオプションで用意してあります。
今回の試乗艇にはオプションであるMinnKota社のオートパイロット・エレキRT55/AP(ハンドコントロール)を付けてあり、これはルアーやジギングには必需品なので有り難いですね。熊本ヤマハが試乗艇として、今回の私達の様に実際に釣りをしながらじっくり試乗して貰う為の配慮がうかがえます。熊本ヤマハでは県内はもとより近県で試乗したい方が居ればトレーラーに積んで持ち込む予定があるそうです。試乗されたい方は問い合わせてみて下さい。
| 艇名:BAYSPORTS 16CC F60(センターコンソーラー) |
搭載船外機 |
| 全長:480cm |
F60AETL(4ストローク直列4気筒) |
| 全幅:192cm |
総排気量:996cc |
| 全深さ:84cm |
最大出力:44.1KW(60PS) |
| 艇体質量:385Kg |
潤滑方式:ウェットサンプ |
| 完成質量:500Kg |
冷却方式:水冷 |
| 最大搭載馬力:44.1KW(60PS) |
始動方式:電動スターター |
| 燃料タンク容量:別体式24L(2個搭載可能) |
使用燃料:レギュラーガソリン |
| 定員:5名 |
発電性能:12V−10A |
| 航行区域:限定沿海 |
乾燥質量:114Kg |
一般的な2ストローク船外機しか知らない人にとって、このエンジンを始動してまず驚くのはアイドリング状態では本当に回っているのかと思うほど静か(これは私が使っているスズキのDF50Tでも言える事ですが)で、2ストみたいな排気ガスの嫌なオイル臭もなく流石に4ストローク船外機は違います。このBS16にセットの船外機には4ストロークの40HPと60HPの設定があり、ヤマハもクリーンで燃費の良い4ストエンジンにシフトしていくのがうかがえます。
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| 出航前の点検 |
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いよいよ出航です |
●まずは目的地に向け出発
今回の試乗に際して実際にBS16を設計されたヤマハ発動機梶E国内マリン事業部・製品開発グループの福山さん、ヤマハ熊本の森さん、藤本さんの3名がSRV23で伴走サポートして下さり心強かったのは言うまでもありませんが、ご三方には暑い中お供して頂き本当にお世話になりました。それに今回はお目に掛かれませんでしたが試乗艇の日程を組んで頂いたヤマハ熊本の甲斐さんもありがとうございました。
マリーナに到着後、桟橋に用意してあったBS16に3人分の荷物を前方に積み込みいざ出発。途中波が荒れているかもしれないが、サポート艇もいる事だしとにかく行けるところまで行って釣りをしようと言う事にしました。
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| 徐々にスピードを上げて走行 |
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今回のサポート艇SRV23 |
●3名乗船で最高速度53.8Kmを計測
目的地までの走行中、スピードテストをした地点は北東の風2〜3mほどの追い風で0.5mほどの波だったと思いますが、まずはチルトダウンの状態でそのままスピードを上げて行き計測すると時速50Km弱が限度で、その状態から少しずつチルトアップすると53.8Km(約29ノット)を計測しました。計測はハンディーGPSを使ったので対地速度ですが、この日は小潮で上げ潮の時間帯でしたから進行方向から見ると潮流は逆流なので対水速度はもっとあったと思います。その中で3名とその荷物(釣具等)を乗せて29ノットは凄いですね。
走行中3名の乗船位置は操縦席の他、その右側に1人とコンソール前のシートに1人というスタイルで、前方左側に3人分の荷物をまとめていたのでこの位置関係が最も左右バランスが取れていました。行きの巡航速度は時速40Km強で走行しました。場所によっては時折1m以上の波もありましたが、これ位の波では全く問題なくスピードを落とさず安心して走れました。また船体の形状(ガンネル部分が袋状ではなく外側に返してある)によるものが大きいと思いますが、ちょっとだけ追い風という事もありスプレーも殆ど被る事はありませんでした。
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| 操船中の天海さんと石川君 |
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浮き消破堤周りをジギング |
●ジギング開始
目的地の養殖イケス沖の消波堤に到着し、エレキを下ろして早速ジギングを始めました。エレキはオートパイロットですから流される上の方に方向をセットしてからパワーを調整すると同じ場所をキープします。3人立ったままでジギングをしたり前後左右に移動してもボートの大きな傾きや横揺れなどの不安は全く感じません。16フィートのボートでありながら3名で釣りをしても窮屈さはありません。3人とも「何でこんなに広いんだろうか?」と感心しきりです。さて釣果の方ですが、この場所で1時間ほど粘りましたが目的の青物は全く周ってきません。残念ながら小さなエソが1尾食いついただけでした。汐も悪いしエレキをセットしたままここで昼食を摂り、次の場所へ移動する事にしました。
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| 何とか外道の小さなエソが釣れる |
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イケス周りに場所を変えジギング |
●養殖イケス周りに移動
この周辺は天海さんが詳しいので、養殖イケス周りに移動して天海さんの指示に従いジギング開始。イケス周りを移動しながら30分ほどジギングしても全く当たりすらなく、ジギングは諦めて餌釣りに変更です。周りを見渡すと結構な数のボートが餌釣りをしています。さすがに餌を使うとすぐにグチ、カサゴ、鯛が釣れ始めました。結局時間の関係もあり1時間ほど餌釣りをして帰る事になりました。釣りをしていて3名が同時に前に集まってもバウの浮力は十分なので極端に沈むようなこともなく、また片側に3名寄ったりする事も何回もありましたが大した傾きもなく安定していて、スカッパーから水が逆流する事もありませんでした。釣りに関してもルアー釣り餌釣りとも3名でも広々と釣りが出来るし安定性も抜群で申し分ないですね。乗船時の静止安定性とデッキの高さは相反しますが排水用のサイドスカッパーの位置と合わせ、流石ヤマハさん最適な高さを十分研究してあるようです。
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| ジギングから餌釣りに変更です |
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私に鯛が釣れました |
●2人乗船で試走
帰る前に写真撮影の為に2名乗船でテスト走行です。まずは天海さんと石川君から。そして次に私とヤマハ福山さん。ここは島々に囲まれており殆どベタ凪で走りやすく景色も良く画になります。伴走艇SRV23の後ろに回って牽き波を斜めに横切ったりしても全く不安なしに走れます。
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| 天海さんを前に乗せ石川君が操船 |
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伴走艇SRV23の真後ろへ |
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| 海上を飛ばすと気分爽快です |
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BS16設計者の福山さんを前に |
●いよいよ帰途
今回参加した3名とも一通り試乗を終え、いよいよ残り35Kmほどの帰途につきます。帰りは向かい風も少し出てきて場所によっては波が1.5mほどありスローダウンして走ったりもしましたが、殆どの海域で40Km以上のスピードで走って不安はありませんでした。どうしても自分のボートと比べてしまいますが、荒れた中や漁船の曳き波で波長の短い大きな波が続けて来たとき、NEO450は1つ目の波を乗り越えて前が沈み2つ目の波にバウから突っ込みザバーっとかぶる様な状況でも、BS16はバウに浮力があるので一旦沈んでも復元力が早くバウから波に突っ込む様な事は全くありませんでした。帰りに一番心配だったのが燃料です。24L満タンのメインタンクを1本だけしか積んでないのでマリーナまで帰れるか不安でしたが、サポート艇も居ることだしそのまま帰ることとして何とか帰り着きました。残量を調べてないので分かりませんが、全行程73Kmを24Lすべて使ったわけではないので、リッター3Km以上走ったことになります。3名乗船での数値だから凄く燃費が良いボート&エンジンです。
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| 帰る途中、後方左がヤマハ姫戸工場 |
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帰着後、左から天海さん、石川君、私 |
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| バウを低アングルから |
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手前のストレージにエレキ用バッテリー収納 |
●デッキ配置
バウ側のストレージですが、普段はライフジャケット等を収納するスペースですが、エレキを取り付けたときのバッテリー収納スペースにもなります。コンソール前の中央ストレージはオプションのスカッパーを取り付けることでイケスになります。これは出発時の事ですが、最初からイケスのスカッパーが外してあったのでイケスの水を排出する事にし、まず流入口のみを閉めた状態で滑走しながら排水し終わったところで排水口を閉めましたが、ほぼ完璧にイケスの水がなくなるまで排水出来ました。
コンソールの真下にもストレージがありますが、スペース的には大きくないので小さなタックルボックスや小物などを収納するのに役立ちそうです。またドライバーズシートはオプションなので自分に合ったもの、例えば立って操船することも考えて昇降式のペデスタルを付けるとか。
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| コンソールから後ろ部分 |
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コンソール前のイケス |
コンソールには着脱式ウインドシールドが付いていますが、私が思うにちょっと小さいかな。個人的にはアメリカ製ボートみたいにコンソール全体を覆うような大きめのウインドシールドを付け、周りを手摺替わりにもなる様なステンパイプで保護した格好が好みです。コンソールのハンドル周りはスッキリとまとまっていて燃料計やチルト計等のメーター類を取り付けるスペースも十分ある様です。GPSプロッター魚探などは多少大きくてもコンソール上部に設置可能です。
サイドの水抜き用のスカッパーには今回開発してはじめて採用したという逆流防止弁が付いており、蓋を取り外した状態でも外が見えません。実際3人乗船でスカッパー位置まで沈んだかどうか分かりませんが、スカッパーから水の逆流が全くなかったのは事実です。またデッキ上、滑り止めダイヤモンド加工の間を縫う様に排水を考えた溝と言うか段差がありサイドスカッパーまで導く様な工夫があります。
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| スッキリまとまったコンソール |
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逆流防止弁付きサイドスカッパー |
後方のストレージですが左舷側にメイン・バッテリーを収納してあります。右舷側には24Lの燃料タンクを収納してありますが、中央のシート下部までつながっておりもう1個収納可能です。蓋の部分は取り外し式になっており、はめるときは後方をピンに引っ掛けて前方をロックするので走行中にガタついたりする事はありません。また蓋をはめたときの周りの溝ですが、前後に水が抜けるようになっているので、洗ったときに水が溜まることはないでしょう。トレーラーに載せた場合は前上がりになりがちですが、そんな状況下でも水が抜ける設計は有り難いですね。
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| 燃料タンク |
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メインバッテリー |
●最後に
このクラスのボートで1mほどの波の中を時速40Kmほどで突っ込んで行くとガツンガツンと波当たりときしみを体でモロに感じてしまうものです。しかしこのBS16に限ってはその衝撃が少なく波当たりは柔らかで、よくある腹にグッと来る様な衝撃など全く感じませんでした。これも今回ヤマハが開発したFOAMAP(フォアマップ)と言う艇体構造(アウターハルとインナーハルの間に高圧でウレタンを注入し一体成形を行なった三重構造)によるものと思われます。それともう1つ驚いたのはハル部分に集中的に並べて置いた3名分の荷物が走行中に殆どズレる事がなく、これも完全不沈構造のFOAMAP効果による衝撃の柔らかさだと思います。
今回試乗したBS16の本体価格(4スト60HPエンジン付き)は160万円(税別)と言うことですが、これはNEO450マルチボーイより安い価格です。もし3年早く出ていたら間違いなくBS16を買っていたと思います。いつになるか分かりませんがトレーラブルに拘る私としては、今度買い替える時は当然BS16が第一候補です。私のNEO450も良いボートでもちろん気に入ってますが、今回BS16に試乗してひと味違った良いところを実感しました。16フィートでありながら18フィートクラスほどの安定感や走りをするボートです。トレーラブルといった使い方を意識して設計してあるのは言うまでもありません。
同乗した天海さんからのコメントです。「最高ッス、素晴らしいボートです。叩かない、荷物が動かない、欲しいですね。」

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